9月公演に出演してくださるゲストさんの中には長い付き合いの人もいれば、つい最近知り合いになったばかりの人もいます。でも皆さんずっと知っているかのような馴染み具合で人見知りの僕としては大変心強いのです。
中でもH氏はstudio CAS/T旗揚げ公演以前(相方がドラァグクイーン・ショーをしてた頃に一緒にバックダンサーしてた仲)から知っているのでちょっと別格です。
水曜日はいつも昼と夜のクラスの間が少し空いているのでゆっくり食事をしたりメンバーが自主練しているのをチラチラ見たりして過ごしているのですが、今日は何故かゆったり食事をする気分になれずさっさとスタジオに戻って早めに来てたN嬢と雑談していました。すると、いつもは開始時間ギリギリでいらっしゃるH氏が早々と登場。朝、彼からメールが来てて公演のCDをリハが始まる前に聴いておきたいから事前に欲しいと言われていたので来ることは分かっていたけどそんなに早くいらしたということは臨戦態勢ね!と勝手に思いこみ、「じゃあHちゃん、振り入れちゃおうか?」と冒頭のシーンを創り始めてしまいました。
彼は本番では勿論完璧にこなしてくれる人なのですが、振付初回がとても大変で一定量を超えると脳のメモリーがフルになってしまい、「もーダメだからビデオ撮ってウチで見て次回までに覚えてくるから許してね・・・」とその日はしょんぼり帰って次回完璧に覚えてくるというある意味達人なのです。でも今日はビデオの用意もしているはずもなく相当慌てた様子でしたがすぐに腹を決めてくれて冒頭の大事なシーンの振付があっという間に完成してしまいました。
この作業をしている間、不思議な感覚に支配されていたのです。確かに振りを考えて提示しているのは僕なんですけど、まるでH氏に導かれるように振りが生まれてくるのです。たまに「これはしっくり来ない動きだな」と感じる時には背後にいるH氏の空気が固まるし、「これはすんなり来るな!」と自信を持てる動きを見せると彼も嬉しそうに動くのです。意味の繋がらない動きをランダムに組んでも全く失うことなく全て理解して即座に彼が抱いている世界を見せてくれる、これはクリエーターにとっては本当に触発されることなんですね。
いつも彼と組む時には感謝しているけれど今回は特に「彼無しでは僕の舞台は成立しない」と確信しました。お互い車椅子生活になってもずっと関わっていこうね!とよく冗談で言ってますが、僕は本気でっせ、Hちゃん!
この一部始終を傍らで見ていたH嬢が帰り際「どうして先生がHさんや他のゲストさんと創っている時嬉しそうなのか今日分かった気がする!」と言ってたけど、今回はゲストと生徒メンバーが関わる部分が多いので是非全員に僕が楽しく振付しているところを見てもらって何かを感じて欲しいなぁと思いました。
おしまい。