ようやく訪れることが出来ました。
『アルチンボルド展』
先日の『ミケランジェロ×ダ・ヴィンチ展』に続き、ルネサンス期のアートを続けて鑑賞出来たことは何か意味があるのもしれません。
お恥ずかしながらこの歳になるまで全く美術には関心がなく、史実や人物の名前は知っていても本当に漠然とした知識でしかなく、時代考証もバラバラに理解していたのでこんなに情報が大量に流れ込んでくると正直思考が停止します。それでも貪欲にあれこれ観たいと思ってしまうのならば欲求が消えないうちに乱暴にでもいいからアートに触れる機会を増やそうと思っています。
この数年、だいぶ雑食に展覧会に足を運びました。その中でも『ジャコメッティ展』とこの『アルチンボルド展』はとても触発される素晴らしい機会でした。初めて彼らの生の彫刻や油彩を観るのに何故か懐かしく感じる、この感覚はきっと幼少期の少し変わった絵本達のお陰かもしれません。全く縁が無かったらわざわざ足を運ぼうなどと思わなかったでしょうから。
グロテスクだし肖像画にしてはあまりにも歪曲されすぎているし『綺麗』という概念とはだいぶ遠い作品の数々を食い入るように鑑賞し、何故か涙が溢れ、素直に『好き』という感覚が充満し、この上ない陶酔感に浸れました。
あ、そうそう、アルチンボルドの絵のような似顔絵を作ってくれるコーナーがありまして、行列が苦手な僕もうっかりやってしまいました(^^;
『HOTEL』でダンディ役を演じて下さったH氏が手掛けた『Rodin』という作品の核となった『地獄の門』と『考える人』の彫刻が、アルチンボルド展の会場となった国立西洋美術館の前庭にあるという事実も最近知りまして、それらを実際に観るのも今回の展覧会の目的の一つでしたが、これも無事に達成。
ごく近しい関係者の肉親の訃報があり、正直心は曇天状態が続いていましたが、今日はアルチンボルドとロダンのお陰で穏やかになれました。
『芸術は世界を救う』、少しだけこの言葉を信用してもいいかな…と思えたひとときでした。