とある方からお話を頂いたのが去年の夏。
その方とはお互いの舞台を何度も観ていて実際に面識もある方なのですが、なかなか何かを一緒に、という機会には今まで恵まれずにいたのです。
前作『Hotel』をご覧になってからのタイミングでしたので、あの作品がキッカケになったことはとても嬉しく思います。
僕より年上のご婦人方が殆どの44人ものメンバーを率いての公演、と最初に伺った時は正直なところ、これは大丈夫なのだろうか…と不安になりました。
僕に課せられたシーンは『私達だってもっと素敵に輝きたい!』という場面をダブルキャストで7名ずつ計14名、そのうち初めましての方々が半数以上というこれまたハードルの高い内容。
僕も心配でなりませんでしたが、メンバーの皆さんも同じ心境だったと思います。初回のリハーサルはメンバー同志でも初めましての方が多かったのでいきなり振りを入れることはせずにペアストレッチから始めて、『触れ合い』を通じて心の壁を取り素直に動きが身体に浸透するようにと配慮すると見せ掛けて、実は僕自身の人見知りの壁を皆さんを利用して壊していたのだと思います。
史上初のアシスタントが2名も付いてくれるという恵まれたリハーサル条件も加わって、毎回本当に充実した良い空気感のリハーサルを重ね、本日最終リハーサルに立ち会ってみて、『あぁ、もうこれで僕の手は完全に離れたな…』と実感しました。
昨年末本番だった若者作品のリハーサルもそうでしたが、声を荒げることもなく集合・土下座・説教などという体育会系なムードとも無縁。寧ろ、僕自身が楽しくなってしまってキャッキャしてるところをアシスタントにたしなめられるという図式が何度もあったぐらい、とても和気あいあいとしたリハーサルでした。
真面目な方は『ほんとにこんなんで作品が成り立つのかしら?』と不信感を抱いていた方もいらっしゃったかもしれません。しかし、蓋を開けてみると僕が蒔いた『おおらかな気持ちで丁寧に踊り観ている方にふくよかな心を伝える』種はちゃんと発芽し彼女達の優しい手でしっかりと育てられ、もう少しで大輪の花を咲かせてくれそうなのです。きっと本番では舞台のあちこちに美しい花が凛と咲いてくれることでしょう。
この公演、そしてこの作品に関われたこと、嬉しく誇りに思います。
僕の作品に出演して下さるメンバーの皆さんだけでなく、他の先生方の作品に出演されている皆さんも本当に素敵な方ばかり。
この公演はまず来週末に下北沢のこじんまりとした劇場にてプレ公演を行い、そこから更にグレードアップして4月に大きな劇場にて本公演を行うというステップアップ形式の独特な公演でもあります。
なお、来週末の公演は少しでしたらお席をご用意出来るようです。僕に直接連絡を取って下されば主宰に申し送りチケットご用意させて頂きます。下記のアドレスに観覧ご希望日時・お名前・人数を明記の上、ご連絡ください。
castcontemporary@yahoo.co.jp