【礼二郎のつぶやき】

喧嘩上等

僕の舞台になくてはならないもの、それはやはり信頼の置けるダンサーの皆さんであり、心をそっと動かす音の数々であり、それらを包み込んでくれるハイセンスな照明であり、陰でそっと見守ってくれる舞台監督であり、フライヤーやパンフレットの絵やデザインを描いてくれる才能豊かな面々であり、当日お客様を優雅にご案内してくれるお手伝いの皆さんであり…

どれが一つ欠けても成立しない大切な要素です。

その中でも異色な要素が衣装です。

普通のダンス公演だったら、ダンサーの動きや存在感を邪魔しないシンプルな衣装が常套句だと思いますし、奇抜なデザインのものがあったとしても言い方は悪いですが身内受けに終始してしまいがち。

かく言う僕もこの人に出会っていなかったら何も知らずしてそれこそ衣装をファストファッションで間に合わせて悦に入っていたかもしれません。今考えるとゾッとしますが。

studio CASTの本公演には第1回から第3回まで関わってくれて、途中彼が超多忙になってしまったため二回ほどお休みし、昨年の第6回公演『Hotel』から復帰しその絢爛豪華な世界観を存分に発揮して貰いました。

彼の素晴らしいところは『ダンサーに喧嘩を売る』ということなのです。

決して動きにくい訳ではないのですが、彼の衣装を着こなし捌くためにはダンス以外の技量が求められます。それは『所作』であったり『時代考証を理解する』であったり『衣装を衣装として着ない』感覚であったり『自らの身体を衣装に合わせるセンスと努力』だったり。

ダンスの世界だけに生きていると、いかに肉体表現を極めるか?いかに感情表現を追求するか?いかにセンスの良い振付を施すか?ばかりに思考が向いてしまい、外界からどんどん引き隠り、結果一般の方々と疎遠になってしまいがちです。『映画は気軽に観れるけど、舞台、特にダンス、とりわけコンテンポラリーダンスなんてわざわざお金を払って観たいと思わない。』それが世間の多くの声です。

『そんなんだから日本の文化レベルがいつまで経っても上がらねえんだよ。勉強しろっつうの。』という声をダンサー仲間から聞くこともあります。でもそれで良いんでしょうか?

確かに今回のようなベル・エポックの時代のお話を題材に取り上げた作品を上演するとなると、当時の文献を読み漁りその時代を再現した映画を鑑賞し徹底的に勉強しなければ時代考証のつじつまが合わなくなる。平行して振付作業も進めるので頭も身体も大混乱。本当に面倒でしかないのです。

しかし、それを『面倒』と思ってしまったら表現者として片手落ちの怠惰な人間に堕ちてしまいます。僕はそんな人間には絶対になりたくない。

今回も大赤字です。でも拘るだけ拘ります。それでお客様が豊かな時間を過ごして頂けるならこの身が滅びようとも後悔はありません。

誤解なきよう申し添えますが、僕は『民衆の元に降りて行く』つもりなど毛頭ありません。しかし、『高い所から啓蒙する』つもりも微塵もありません。

ありとあらゆる素材をブレンドし、皆様がお好きなように解釈し、『あぁ、生きてて良かった!』と思える舞台を創ることに専念しているだけです。

最後になってしまいますが、僕に豊かな人生を取り戻させてくれたこの方をご紹介します。


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by reijiro_kaneko | 2018-05-27 11:01
<< 梅雨前に徒然と 完売御礼m(__)m >>



ダンサー兼インストラクター『金子礼二郎』が気ままに呟いています。
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