勉強になります今回はなかなか反感を買う可能性が高いテーマでお送りします。 僕は「勉強になります」という言葉が嫌いです。というより、これを使われるシチュエーションが苦手、と申し上げるべきでしょうか。 「え?そんなの当たり前に使ってるけどそれの何が悪いの?」とお感じになる方は多いと思います。「勉強」という言葉には全く悪い意味は含まれていませんし、勤勉な日本人にとってはいつの時代にも標語として掲げられるNo.1の言葉であるとも思います。 しかし、その使い方を誤ると美しい言葉が恐ろしい武器にもなり得る、ということを今日はダラダラと述べたいと思います。 まず一つ目は礼儀としての視点から説明いたします。 先生というものは「教える」ということを生業としておりますので、受講して下さる皆さんが「学ぶ」ために先生が「教える」という構図は当たり前の事として存在し、皆さんは先生の元で「勉強」されているワケですよね。 「勉強」することが当たり前なのですから、感想として「勉強になります」と口にすることが果たして正しいことでしょうか? 「はっ!私は気付いてしまった!こんなことを学んでしまった!嬉しい!」と感じたことでつい、「勉強になります」と言ってしまっていませんか?それはとても自然なことですよね。 まずご自分が出来ていなかったことに気付くことはとても大切であり、そこで「勉強した」と感じることは成長の第一歩であり、その第一歩から更なる一歩毎に全て「勉強」であるわけですから、いちいち「勉強になります」と言っている暇は無い筈です。 僕がご教示差し上げたことが本当にあなたの身になっているかどうかはこちらから見ていれば一目瞭然。気付いて勉強になると感じて身につくまで何度も練習する、それを手伝い誘導するのが僕の仕事です。特にこの「身に付く」というゴールに導く事が最大の達成感と喜びを皆さんと共に感じられる瞬間であり、それが為にこの仕事を続けているようなものです。 ですから、「勉強になります」と頻繁に口にされるだけで大した変化も無い方々を見ているととても残念な気持ちになり、対価を頂いているのに大した変化も出してあげられない己の非力さが無念でなりません。 お分かりでしょうか?皆さんが安易に口にする言葉で僕は酷く傷付き、この仕事を続けていく気力を日々ポキポキと折られているのです。 僕からの切なるお願いです。今後引き続き僕から何かを学びたいと考えていらっしゃる方はどうぞ「勉強になります」を封印して頂き、代わりに「身に付きました!」と満面の笑みで報告してください。その時はその場で本当に身に付いたのかを実演して頂いて、おそらく出来ていないでしょうからクソミソにケチョンケチョンにけなさせて頂きますね。 我ながら面倒臭い人間だなぁと毎日100回ぐらい思います。こんなこと、普通の人だったらアハハと笑い飛ばして適当にやり過ごしているはずなのに、何でこんなにタチの悪い痰が喉に絡まって取れないような思いをしてるんだろう?と不思議で仕方ありません。 はい、その面倒臭い話にもう一つだけお付き合いください。 二つ目は「プライド」の視点から分析いたします。 お話を始める前に前置きをひとつ。 僕は昔から頂点に君臨するタイプではなく、どちらかというと最下層からキラキラと輝くスター達を見上げてほわああぁとうっとりしている側の人間でした。たまに責任ある仕事を任されたとしても、グイグイと引っ張っていける性格ではありませんでしたのでこの人は守ってあげないとダメねと思われて沢山の手を借りて何とか仕事をこなす、という有様でした。そんなどこか頼りなく放って置けないと思われてしまう人間だったからこそ感じること、として次からの件をお読みください。 「勉強になります」を「気付きました」の代わりに口癖としてつい使ってしまう前述のケースとは別に、「あなたのようなどこか頼りなく放っておけない人間から気付かされて私はいささかショックです」という上から目線で「勉強になります」と言われてしまうことが度々あります。 え?ちょっと待って!それは考えすぎなんじゃないの?それは被害妄想でしょ? と思う方も多いと思うのです。 しかし、素直で純真で己の向上に貪欲でどんな人にも寛容に接する方からこの言葉を聞くケースは皆無なのです。 自らも何かしらの教師であったり、多くの人間を取りまとめる要職に就いている人であったり、どこから来るのか分からない高いプライドを持っている人であったり、圧倒的な権威に対してはへつらうのに僕のような一見頼りない人間に対しては支配しようとする意識の持ち主からこの言葉を投げつけられることが殆どなのです。 きっと、そういう方々から見ると僕のような人間に教えを乞うことは屈辱でしか無く、しかもその屈辱を凌ぐ気付きの閃きを経験してしまった場合、一応こちらを立てる振りをしてご自分が礼儀を弁えている人間でありどんな人にもフレンドリーに接することが出来るアピールをしておく必要があるのでしょう。 でも、僕はそんな方々から賛辞を頂戴しなくとも十分楽しく生きておりますので、今後そんな憐れみとかタテマエでの「勉強になります」の賛辞はご辞退差し上げます。 もし、こんな僕のような最下層の人間から何かを学んで頂くことが御座いましたら、どうぞ「これをマスターして更に自分を高める為に利用させて貰いますね」と勝ち誇った顔で仰ってください。キラキラと輝くスターであるあなたを僕はほわああぁとうっとり見つめることでしょう。 ああ、もう、ほんとにシニカル過ぎて反吐が出そうです。こんなこと、本当なら言いたくないのです。何も言わずニコニコと集団の隅っこで楽しく皆さんを見ていたいのです。 でもね、「教師」という一番苦手な職業に気付いたら就いてしまっていたのです。「恥ずかしいからそんなに注目しないでください」とか「俺なんかが皆さんに教えられることなんて全然ないんです」なんて言ってたら、石投げられちゃうじゃないですか。だから、勇気を出して長年疑問に感じていたことを少しずつこうやってダラダラと書かせて頂いているのです。 はい、今回はこれでおしまいです。最後まで読んで頂き、本当に有り難う御座いました。 長文駄文ではありますが、こんな文章でも皆様の未来にポッと明かりが灯るキッカケになったら嬉しいです。
by reijiro_kaneko
| 2019-04-17 10:26
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