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【礼二郎のつぶやき】

ヘイトをヘイト

またしても糸井シンクロで有頂天の金子です。

「罪を憎んで人を憎まず」と言いますが、究極の綺麗事だと思うのです。対個人、対社会に於いて「罪」を犯した人を「あいつは悪い奴だ!」と決め付けて「悪いことをしたんだから死刑だ!」と安直に言い放ってしまうのは本当に楽なのです。勧善懲悪のヒーロー物が思春期の男子に賛美されるように、「◯◯さんのご主人、左遷ですって。夫婦揃ってダメ人間ね。」などと悪口を言う主婦友達のように、「罪」や「悪」をその人のアイデンティティと同一化して攻撃したり排除しようとするのが人間という生き物の性なのです。

そんなことを分かったように吹聴している僕ですが、ちっとも悟ってなんかいません。好みは相変わらずハッキリしているし、何らかの理由で「攻撃してくる」ように見える人に対して「ややや!お主、やるおつもりか!」と臨戦態勢に入るなんてこと日常茶飯事です。

心に余裕がある時は、あまり好みではない物事に対して寛容になれますし、喧嘩を売られても戦おうとは思いません。

しかし、人間ですもの、いつも平たいワケにもいかず心も身体も悪天候な状況に陥ることなんてザラにあり、そんな時に目の前を仰々しく行軍なんかされようものなら無駄に重い甲冑を身に纏い錆びた剣を振りかざして単身大軍勢の中に飛び込んでやみくもに斬れもしない古刀を振り回してしまうこと、しょっちゅうあります。

この刀、古いし錆だらけなんですけどね、意外と良く斬れるんですよ。斬れる、というよりはその重みで無理矢理ぶったぎる、というお粗末な仕事ぶりですので、まぁ後味は悪いことったらありゃしません。

骨皮辛うじて繋がって生きているおぞましい怪我人の山を目の当たりにしてようやく正気に戻ります。

あぁ、またやっちまった…

正義をふりかざして成敗、なんて気持ちが1%でも自分の中に存在してたら全くお話にならないダメっぷり。果たして、その正義とやらですけど、地球上のすべての人にアンケートを取りディベートをした上での正義ですか?自分に都合の良いどっかから借りてきた浅はかな正義なんじゃないですか?と冷静になった時に鼻の穴パンパンにして荒ぶっている自分に尋ねてみると何も言い返せないことが殆ど。

自分と違う考え方や行動や様式美を完全に違和感なく受け入れることは不可能だとしても、それらが存在する事実や意義を理解し尊重し自分を成長させてくれる何かを盗む努力を続けることは大きな価値があると思うのです。

これは、以前書きかけて引き出しにしまってしまった「プライド」と「自尊心」の違いにも関連します。

「プライド」はその根底に劣等感があるのに対し、「自尊心」にはそもそも劣等感という概念はありません。

「プライド」はその劣等感故に自分より優っていても劣っていても関係なく他人を攻撃しますが、「自尊心」は自分とも他人とも戦っていません。

対して「自尊心」のある人はありのままの自己を肯定し欠点も含めて自身を尊重するので、常に前向きであり無益な争いをせず真の紳士淑女となり得るポテンシャルを有しています。

あぁ、本当にそうなれたらどんなに良いでしょう。そんな人ばっかりだったら世の中諍い事など消滅するでしょう。

もうとうの昔にプライドなんて捨てたと思っていても、消火したはずの焚き火がまたチロチロと燃え出すように嫌な感情が湧き起こってくると、自分を呪い殺したくなります。

例えそれが面白半分でチョッカイをかけられたが故だったとしても、そんな誘導に易々と負けてしまう自分はヘタレもいいとこです。

一体、紳士になれる日は来るんでしょうか?

それにしてもラガーマンはカッコいいです。
ヘイトをヘイト_a0052916_16241121.jpg

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・戦いというと、他の考えもなく、「敵を憎む」ということになってしまうのは、かなり遅れた思考なんだろうなぁと思う。

「敵」と決めたとたんに、もう、「だから憎むべきである」と決めてしまい、「敵にはなにをしてもいい」となってしまうこと。ここから、抜け出すような考えを、ぼくらはたしかに、あんまり教わらないできた。

「敵」を決めて、それを「憎む」ことは珍しくない。いったん「敵」であると決めつけたら、それはもう人間として扱うのではなく、「敵」という「憎むべきもの」になってしまうのだから、「敵」には、嘘をつこうが、脅かそうが、ときとして暴力に訴えかけようが、こころは痛まない。そこには、それはもう大変な判断があったはずなのだが、実際の「敵」認定は、あんがい根拠なくなされる。

これを書いているぼくだって、どこかのだれかに「敵」認定されているだろうし、この文を読んでいるあなたにしたって、どこかで「敵」にされたり「敵」をつくったりしている。

もしかしたら、いずれ、人間の社会が、もっとましなものになっていたとしたら、まず、「敵」は憎むものとはかぎらないということが、わりと常識のようになっているかもしれない。しょうがなく「敵」ができることはあっても、それは憎んだり、陥れたりする相手とはかぎらない。いま言うと、甘っちょろい非常識かもしれないけれど、少なくとも「そういうことはあるよ」くらいのことは、人がふつうに考える時代はくるような気がしている。

いま、ラグビーワールドカップの試合が、あんなにもおもしろく感じられているひとつの理由は、「敵」は憎む相手ではないということが、試合から、よく伝わってくるからだと思うのだ。社会をそのまま反映させたスポーツではなくても、「人のひとつの理想」を見せ合う競技なのだとは思う。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。「憎む」ことは、やがて、じぶんをも「憎む」ことになる。

by reijiro_kaneko | 2019-10-04 16:23
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ダンサー兼インストラクター『金子礼二郎』が気ままに呟いています。

by reijiro_kaneko
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