毎年クリスマスを迎えるとはたと考え始め、イヴの夜にパタパタとクリアーになってゆきます。今年ももれなく気持ちよく整理が出来たようで、心身共に快適な状態であります。
今度の公演で「Lost」というナンバーを創ります。直訳すると「失われた」という意味になりますが、何も無い荒涼とした大地に佇み途方に暮れる感覚の作品ですが、僕は何度も此処へ帰ってきています。失うことが怖いと言う人は多いと思いますが、僕はその逆で「失うものが怖くなったら自分は終わりだな」と思うのです。ある程度自信を身につけてそれをバネに更なる極みを目指すことは当たり前なのですが、そればかりでは何だか味気なく感じます。失ったものに想いを馳せつつも失うことを躊躇わず、いつでも其処に帰ってゆける芯の強さが欲しいと常々考えています。
「何にも無い」と考えると、そこからまた新たに芽吹いてゆけば良い、と思えるから変に強情にちっぽけなものを死守しなくて済むから気持ちが楽なんですよね。
もう数ヶ月前からまだ実際に見たこともないアイスランドの風景が頭の中にずっと浮かんでいます。沸々とエネルギーを湛えたマグマの上にちょこんと乗っかってる小さな島。何も無いように見えるけど、深い色をした地面や水に秘められた限りない可能性を感じたりするのです。
近頃アイスランドやノルウェーの音楽ばかりに惹かれるのも何かご縁があるのかもしれません。再来年あたり、行きたいなぁ。
画像はお気に入りのアーティスト、Olafur Arnaldsさんです。20歳そこそこで久石譲も真っ青の老成された音を創り出します。怪物です。